さて、二つ目の話題はポケコン分解調査です。
○CASIO PB-410分解調査
ひょんなことから入手したCASIOのPB-410です。調べると1984年に登場した今から約31年前の機体でした。これは最初期と言ってもいいかもしれません。
本機は何か特殊な用途向けにカスタムされていた?ものらしく電源を投入してもよく分からない文字列が表示され、まともに操作が出来ません。RAMはバックアップ付きのメモリカードで搭載するタイプなのですが、取っても入れても変わりません。
故障しているのかもしれませんが、とりあえずばらしてみます。
本体の外観です。PocketComputerではなく、PersonalComputerと書いてある所が泣けます。
それもそのはず。1984年と言えばパソコンの主力はまだ8bit機で16bit機のPC-98シリーズは出たばかりだったはず。本機はCPUのbit数が不明ですが、この時代にプログラミングが出来る機体は全てPersonalComputerと言いたかった(言ってもよい時代だった)ものと思います。
ばらしている様子を細かに撮影していたのですが、ちょっと長くなるので割愛。一言で言うと物凄い構造です。非常にEMIを気にした設計のようで、天板と底板は金属製なのですが、その間を導通させてシールドとするべくリード線にバネを着けて電気的に接触するようなつくりになっています。その為、ばらそうとするとあっちこっちでバネが「びよ~ん」。メモリカードもバネでスロットが取り出せるようになっているのですが、それも「びよ~ん」
組み立て性は最悪だったのではないかと思います。今では絶対にこんな構造では作らないでしょう。
基板は非常にシンプルで本機のCPUであるHD61747がどど~んと鎮座している意外は数点のコンデンサなどが搭載されているのみです。念の為、キーボード面も確認したのですが、そちらもICは殆どありませんでしした。
こちらがメモリカードです。非常に凝ったつくりになってまして。端子はシャッターで保護できるようになっており、ボタン型電池でバッテリバックアップもできるようになっています。本体もボタン型電池で駆動できるのですが、RAM保持の為にバッテリを別に必要とするというのはカードの差し替えを前提としているという事なのでしょう。でも、どういうシチュエーションでカードを入れ替えるのかはよく分かりません。
このカード、本当にすごいと思ったのは中身を分解してから分かりました。日立製のHD61914というSRAM(おそらく1KB)が4つ搭載されているのですが、パッケージがなんかとてつもなく変です。本来QFPで4辺に足が出ているはずが、1辺だけ全部足が無く、3辺で保持されています。こんなのありですか?
こちらが拡大した写真。元々QFPのパッケージを流用していることがよく分かります。1辺のリードフレームがパッケージ本体端面からバッサリ切り落とされています。正直、実装面積が1辺分のリードフレームの足分小さく出来る事以外のメリットが思い浮かびません。なんでこんな変態なパッケージを作ったのでしょう?当時は一般的だった???
ちょっと謎が残る分解調査でしたが、長くなるのでこの辺で終わりたいと思います。
本機は元のように組みなおしたのですが、やはりまともに起動しません。大変残念ですが、オブジェにするか、中身をKURUMIかIchigoJamに入れ替えて遊ぶかマサ氏が思案中です。そのうち何かに料理されて再登場すると思います。
(K)