今週の活動報告(2015/11/03)—その2 PC-98DOを見る

さて、続いてPC-98DOの方を見ていきましょう。
本機は会長のパソコンの師匠と呼べる友人から譲り受けた機種です。ジャンクで手に入れたPC-HD040Lと一緒に使ってました。しかし、引越しに伴い、置く場所がなくて電源を入れなくなっていました。最後に電源を入れてから9年以上が経過。予想通りと言えば予想通りなのですが、電源ボタンを押しても電源LEDすら点灯せず、まったく起動してくれない状態になっていることが今回の祭で分かりました。ちょっと悲しい。。。早速故障状況を確認するためにばらします。
PC-98DO+PC-HD040L PC-98DOはPC-98の歴史の中ではかなりの異端児です。この機種の最大の特徴はPC-88シリーズとのハイブリットになっていることです。登場したのは1988年。当時、PCのメインストリームは既にPC-98(16bitアーキテクチャ)で、8bitアーキテクチャであるPC-88シリーズはシリーズとして終焉に向かってました。PC-88のメイン用途はゲームでしたが、そういった層をうまく取り込み、PC-98シリーズにスムーズに移行させるものとして本機が登場したものと思われます。1粒で2度おいしい・・・となるはずでしたが・・・うまくいかなかった様子。現に本シリーズは次のPC-98DO+のみで終わっています。
不遇に終わってしまった理由をいろんなサイトさんが書かれていますが、筆者が考える最大の問題は性能と拡張性でした。
本機が登場した当時、PC-98シリーズのフラグシップ機は既にi386 20MHzを搭載していました。それに対して本機はV30 10MHz・・・。MS-DOSの通常のオペレーションであればそれほどの差は出ません(注:主観です)が、ゲームでもグラフィクスを駆使したものは苦しく、表計算やワープロもちょっともっさりという感じでした。
PC-98DO中身 次の問題である拡張性は中の構造に関係しています。本機はPC-98の他機種と異なり、ドライブが横に並ぶ構造になっています。そのため、貴重なCバススロットが1個しかありません。当時、追加したい機能の筆頭はHDD I/F(SCSI), 1MBフロッピィディスクインタフェースボード, NetWare(LAN)でしたがどれか一つしか使うことができず、長く使うことが必然的に難しい状態でした。筆者はSCSI2を増設し、他のPCとはRS-232C(Maxlink)で接続していましたが、本機がi386-20MHzでCバスが2本あったら・・・もうちょっと使っていたかな~と思ってます。最も、コストが掛かるPC-88の機能を搭載した上で、当時としては廉価な価格設定を実現するため、値段が安いV30と周辺チップしか選択できなかったのではとも思いますが・・・。PC-98DOメインボード メインボードを見てみます。本機はPC-98の機能をV30CPUと周辺チップセットで実現しており、PC-98機能を司るカスタムチップ(uPD9012, 9013, 9014)はUVと同様なものが搭載されています。一方、PC-88のCPUはZ80であるため、NECの互換チップuPD70008も搭載。見慣れないPALチップやカスタムチップがあるので、これでPC-98とPC-88を同居させているように見えます。かなり苦心した作りに思えます。当時のカスタムチップ(恐らくゲートアレイでしょうけど)は高かったろうな~。
PC-98DOバッテリバックアップ部の腐り 起動しない原因とは思えませんが、メインボード右下にあるRTC(時計)とRAMパラメータを保持するニッカド電池が腐って液漏れしていました。まだ軽度な液漏れですが、貴重な基板が壊れるので早々に撤去が必要です。
PC-98DO電源部最終的に見つかった戦犯(故障原因)は電源ユニットでした。破裂したコンデンサがいくつもあり、漏れた電解液で基板がべっとり濡れています。これでは電圧上がらないわけです。というより、よく基板が原型を保っていたと思います。登場してから27年。その大半の年月で電解液が漏れた状態にあり、常に冒されていたものと思います。部材調達をしないと交換も出来ないので今日はこのまま閉じます。

工作というより修理ネタになりつつありますが、しばらくお付き合い頂ければと思います。

(K)

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