今週のプチ活動報告(2021/01/18) — PC-KD854nのコンデンサ調査

こんばんわ。かいちょうです。

本日は唐突ですが、こちらのCRTディスプレイのコンデンサ調査を行いたいと思います。

皆さん覚えておいででしょうか。このディスプレイはNEC PC-KD854n。PC-98シリーズ用のノーマルディスプレイです。以前こちらでレトロPCの紹介を行ったときにご披露したものです。

本ディスプレイはかいちょうがPC-98DOと共に初めて手に入れたものです。あの記事掲載後、引っ越しに伴い、マサ氏の方に預かってもらっていました。

マサ氏宅から唐突に呼び戻され、解析をすることになったのは・・・当サイトの読者様よりコンデンサ交換の参考にしたいので、情報を頂けないかというご要望を受けた為です。

お陰様?で当サイトも多少検索エンジンに引っかかるようになったのかな・・・と思ったのですが、調べるとそもそも、CRTディスプレイの解析事例はほとんどないんですよね。PCのドライブ、メインボード、電源部のコンデンサ交換記事は割と見かけますが。

5年前、PC-98DOに比較して(面倒臭かった)コンデンサのダメージが見られなかった為、何もしないで閉じていたのですが、今回は調査の為に思い切ってばらします。

実はわたくし、ACを内部昇圧する機器の解析は禁忌としていました。そのため、今回初めての本格なCRTばらしです。
(電子レンジ、CRTなど、内部電圧昇圧機器はコワイのでばらしたくなかったんですよね。って言っても今は普通のACアダプタでもPFCとかがあると昇圧回路ありますが)

暫く電源入れてないから残留電荷はないだろう・・・ということで恐々しながらもどんどんばらしていきます。

放電を使っているのでアーシングというか、逃げ電荷を捕まえる為と思われるグランド配線が多いです。。。電子銃側の基板をはずしやっと取り出した電源ボードがこちら。

超でっかいフライバックトランスが威厳を放ちます。。。20KVぐらい作るんだよねコレ。幸い、感電せずに終わりました。

調査した結果がこちら

電子銃基板 ( Electron-Gun Board )
MarkingVoltageValueNoteColor
C934160V1uF105 CBlack
C922160V1uF105 CBlack
C935160V1uF105 CBlack
C936160V1uF105 CBlack
C924160V1uF105 CBlack
C923160V1uF105 CBlack
C91635V4.7uF105 CBrown
C91710V100uFBlue
C918160V10uF85 CBlack
C94116V100uFBlue
C90125V47uFBlue
C90225V47uFBlue
C90325V47uFBlue
電源基板(Main Power Board)
MarkingVoltageValueNoteColor
C605200V680uF85 CBlack
C606160V33uFBlack
C40525V2200uFBlue
C41316V22uFBlack
C41250V3.3uFBlue
C200125V47uFBrown
C50716V470uFBlack
C51950V1uF105 CBlack
C50250V1uF105 CBlack
C40216V10uFBlack
C40416V470uFBlack
C40750V100uFBlack
C200250V10uFBlack
C40950V470uFBlack
C512160V10uFBlack
C51035V220uFBlack
C41125V100uFBlack
C654160V10uFBlack
C65850V10uFBlue
C655160V100uFBlue
C65725V470uFBlue
C659160V10uFBlack
C656160V22uFBlue

合計36個のケミコンが使われていました。意外に少ない!
マルチシンクでもないノーマルディスプレイなので回路もシンプルだったんでしょうね。
これが、どなたかのお役に立てばよろしいかと。

おまけ、最後ばらしたディスプレイをもとに戻し、久しぶりにPC-98DOを起動したら・・・思いっきり水平位置がずれてました。電子銃基板外したからだな・・・。
簡単に直せるので次回あたり直します。。。

(K)

※お約束。本記事の内容は危険を伴うものです。記載されている情報も含め何も保証できませんので、解析、修理等を行う場合は自己責任でお願いいたします。

今週の活動報告(2015/12/06)—その1 PC-98DOコンデンサ交換完了

会長です。
だいぶ更新が滞っていて申し訳ありません。師走からばたばたしており更新できておりませんでした。

活動自体は行っておりましたので、順次アップします。

まずはPC-98DOネタから。

前回まで、大きなコンデンサを中心に交換を行いましたが、今度は比較的小さなコンデンサを交換していきます。
16uF, 4.7uFクラスの小さなコンデンサは大きいものがくっついているところと比較してパターンが小さく、順調に交換が進みます。(よかった~)
コンデンサ交換

しかし、そんな油断に天罰が下ったのか・・・なんと、最後の最後でコンデンサが一個足らないことに気がつきました。
それはYM2203の近くにある小さなコンデンサでした。
もともと、未実装のコンデンサパターンもたくさんあるので、そこもその一つかと思っていましたが、ハンダの状態を見ると明らかに最近取り外している。。。記録として付けていたエクセルシートのリストと照合しても一つ足りません。
この状態でくみ上げて電源を入れるとスピーカーから音が出ない!
ノー、どうやらスピーカーへの直列コンデンサだった模様。ぐはっ。痛い。
仕方ないので既に金属クズ箱に突っ込んでいたコンデンサを全部拾い上げて答え合わせを行います。

なんと情けない。。。
30分ほどの格闘(?)で、ようやく脱走兵(っていうか、会長が見落としただけですが)を捕獲。
4.7uF 50Vのコンデンサが抜けてました。

手持ちのものでちょうどよいものがあったので、最後に取り付けて完了です。

教訓 取り外した部品とリストはダブルチェックするべし

これで時計保持用のバッテリ以外は修理が完了しました。

(K)

今週の活動報告(2015/11/28)—その2 PC-98DO本体修理

続いてPC-98DOの本体修理です。

○PC-98DOの本体修理
電源部に続いて本体の電解コンデンサを交換し、メモリバックアップ用のニッカド電池を設置します。
こちらが本体表面の様子です。電解コンデンサは全部で17個もあり、基板が大きい事もあって交換はかなり大変です。
PC-98DO メインボード表実際、熱容量が大きく同じハンダゴテを使っているにも関わらず古いコンデンサが中々取れません。そうこうしている内にスルーホールを一か所駄目にしてしまいました。PC-98DO メインボード裏面裏面の画像。表面は割と大人しい感じでしたが裏はこの通り汎用ロジックが所狭しと乗っています。GNDパターンも広大なので電源部よりも熱が集中しにくい状態になっています。本当はもっと加熱できるハンダゴテがあるといいのですが・・・ない物ネダリしても仕方ないので、慎重に進めます。

一方、日米商事で買ってきたニッカド電池は放電しきっているようで、電圧を測ってみると僅か0.1Vしかありませんでした。このまま取り付けても役に立ちません。
ニッカド電池のチェック本体改造の合間に安定化電源を電流制限して充電を試みます。果たしてこんな処置でよいのかどうかは疑問ですが・・・ニッカド電池の充電一時間ほど充電をすると、取りあえず電圧は上昇しました。もう少し様子を見た上で最終的に設置するかどうかを判断します。

結局、本日はコンデンサの撤去だけで終わってしまいました。
次回、新しいコンデンサを取り付けます。

(K)

今週の活動報告(2015/11/21)—その2 PC-98DO電源部修理

ちょっと時間が空いてしまいましたがその2です。

○PC-98DO修理

今週、もう一つトライしたのはPC-98DOの修理です。
11/03に電源部の故障で起動しないことが分かり、部品交換の為に電解コンやニッカド二次電池を入手する必要がありました。そこで、今日は活動前の午前中に秋葉原に行ってきまして、必要な部品を一式買ってきました。
買ってきた部品こちらが買ってきた部品です。10個口, 2個口で売っていた部品もあるため、全体としてちょっと多くなってます。殆どマルツで買ったので律儀にビニールに覆われています。
事前に調べて行ったのですが、いくつかマルツになくて他の店を彷徨い歩くことになりました。
無かった部品は左端に見える560uF 200Vの超デカい自立型電解コンとバッテリバックアップ用のニッカド電池です。
昔からの部品屋である鈴商、日米商事を見ていたら偶々売っていたので買えました。運が良かったです。
特に鈴商は店舗販売が今月一杯とのことで、事実上最後の店舗訪問になりました。

さて、これから電源部のコンデンサ交換を行います。
コンデンサ実装前の電源ボードこちらがコンデンサ取付け前の電源基板の様子です。左側が電源入力側(1次側側)で右側が出力側になっています。真ん中で絶縁されている典型的な絶縁電源です。主コントロールICは三菱電機のM51995。現在でもルネサスでデータシートを拝む事が出来る超古代(?)の電源用ICです。今はさすがに保守廃止になっていますが、マニュアルは2008年まで更新されているので、そこまでは売っていたということになります・・・すごい石ですね。

コンデンサ実装後の電源ボードコンデンサ実装後。コンデンサは10個しかないのですが、上述の560uF 200Vコンデンサが物凄く大きいため、部品がギュギュっと詰まった感じになりました。・・・値札を付けたままなのでいくらだったかもろばれですね。この状態では電源を入れられない(入れられるがコワイ)ので、元の箱に入れて緊張の電源投入!を行います。
電源筐体に格納
電源の調整通電したところ、無事にファンが回りだし、出力が出てきたのでほっと一息です。テスタで電圧を測定すると+5Vが5.8V程度、+12Vが11.80V程度、-12Vが-11.7V程度でした。5Vが過電圧気味です。本体横に電圧調整用のボリュームがあるので回して調整します。ところがこのボリューム、27年も摺動されていなかった事から接触がちょっと悪くなっており、電圧が安定してくれません。
なんどかボリュームを回すと漸く安定してきたので、+5Vがピッタリぐらいになるように調整して完了としました。

本当へ装着本当は本体側のバッテリバックアップ用ニッカド電池やコンデンサも交換したいところですが、今日は時間がないのでまずは本体側は交換せず電源を入れてみます。

起動!
恐る恐る電源を入れると・・・「ピコッ」っと元気よく電源が入りました。メインボードは無事のようです!10年ぶり、27年前の機体が動く様子に感動です。持ってきていた5インチフロッピィディスクのアプリをいくつか動かして遊んでしまいました。
PC-98DOの5インチディスクドライブは世代としては中期ぐらいのイメージですが、3.5インチのものと比べるとヘッドのアンロード機構も備えており、アクセスする度に周囲へ重厚なサウンドが響きます。昔のコンピュータが動くという感覚をリアルに感じる事ができますね。

5インチフロッピィはシャッター等にも守られておらず、非常に弱いイメージでしたが、持ってきたディスク10枚程度は全てちゃんと動作。3.5インチとの違いも分かりました。3.5インチは10枚もあると1~2枚は死んでいるケース(過去PC-286nf, UVで動かした結果)があったのですが、記録密度が低い事が上記保存にプラスに働いている感じがしますね。

次回は本体のコンデンサを交換します。

(K)

今週の活動報告(2015/11/07)—コンデンサの撤去

会長です。
今週の活動報告をします。

今週からPC-98DOの電源部とUVのドライブ修理を行います。
まずはDOの方です。
先週、メインボードのニッカド電池が腐って漏れているのと、電源部の電解コンデンサが同じく漏れていることを報告しました。今日は容量をチェックしてハンダで撤去していきます。
ニッカド電池を撤去した後  こちらはメインボードのニッカド電池が付いていたところ。ニッカドは早速ハンダで外しました。当時は思いっきり鉛半田だったので、熱容量が比較的大きくてもすぐに外れます。いい時代です。(環境汚染的には良くないのでしょうが)
歯ブラシでガンガンこすります跡を見るとちょっと緑青が出ていますがこれであればエタノールと歯ブラシでおちそうです。マサ氏の指導を受けながらゴシゴシして落としていきます。
ハンダでコンデンサの足をあっためて撤去します  続いて電源基板です。搭載されている電解コンデンサは全部で10個。回路がシンプルなので数が意外に少ないです。当時は力率改善回路(PFC)等も搭載されていないため、単純なDC/DCコンバータになっています。また、5V, 12V, -12V出力を作るのにパワーモジュールと思わしきものを使っていることもシンプルな回路実現に一役買っているように思えます。
フラックスリムーバで洗浄しています
最後はフラックスリムーバなどを掛けてやはりブラシとウエスでゴシゴシします。写真では分かりにくいですが非常にきれいに落ちました。
撤去したコンデンサとニッカド電池
こちらが今回撤去した電源部の電解コンデンサとニッカド電池です。電源部のコンデンサは半分ぐらい足元から盛大に漏れていました。漏れていないコンデンサも27年経過しているので一緒に変更してしまいます。

コンデンサの手配を行い、手に入り次第交換を行う予定です。

(K)

今週の活動報告(2015/11/03)—その2 PC-98DOを見る

さて、続いてPC-98DOの方を見ていきましょう。
本機は会長のパソコンの師匠と呼べる友人から譲り受けた機種です。ジャンクで手に入れたPC-HD040Lと一緒に使ってました。しかし、引越しに伴い、置く場所がなくて電源を入れなくなっていました。最後に電源を入れてから9年以上が経過。予想通りと言えば予想通りなのですが、電源ボタンを押しても電源LEDすら点灯せず、まったく起動してくれない状態になっていることが今回の祭で分かりました。ちょっと悲しい。。。早速故障状況を確認するためにばらします。
PC-98DO+PC-HD040L PC-98DOはPC-98の歴史の中ではかなりの異端児です。この機種の最大の特徴はPC-88シリーズとのハイブリットになっていることです。登場したのは1988年。当時、PCのメインストリームは既にPC-98(16bitアーキテクチャ)で、8bitアーキテクチャであるPC-88シリーズはシリーズとして終焉に向かってました。PC-88のメイン用途はゲームでしたが、そういった層をうまく取り込み、PC-98シリーズにスムーズに移行させるものとして本機が登場したものと思われます。1粒で2度おいしい・・・となるはずでしたが・・・うまくいかなかった様子。現に本シリーズは次のPC-98DO+のみで終わっています。
不遇に終わってしまった理由をいろんなサイトさんが書かれていますが、筆者が考える最大の問題は性能と拡張性でした。
本機が登場した当時、PC-98シリーズのフラグシップ機は既にi386 20MHzを搭載していました。それに対して本機はV30 10MHz・・・。MS-DOSの通常のオペレーションであればそれほどの差は出ません(注:主観です)が、ゲームでもグラフィクスを駆使したものは苦しく、表計算やワープロもちょっともっさりという感じでした。
PC-98DO中身 次の問題である拡張性は中の構造に関係しています。本機はPC-98の他機種と異なり、ドライブが横に並ぶ構造になっています。そのため、貴重なCバススロットが1個しかありません。当時、追加したい機能の筆頭はHDD I/F(SCSI), 1MBフロッピィディスクインタフェースボード, NetWare(LAN)でしたがどれか一つしか使うことができず、長く使うことが必然的に難しい状態でした。筆者はSCSI2を増設し、他のPCとはRS-232C(Maxlink)で接続していましたが、本機がi386-20MHzでCバスが2本あったら・・・もうちょっと使っていたかな~と思ってます。最も、コストが掛かるPC-88の機能を搭載した上で、当時としては廉価な価格設定を実現するため、値段が安いV30と周辺チップしか選択できなかったのではとも思いますが・・・。PC-98DOメインボード メインボードを見てみます。本機はPC-98の機能をV30CPUと周辺チップセットで実現しており、PC-98機能を司るカスタムチップ(uPD9012, 9013, 9014)はUVと同様なものが搭載されています。一方、PC-88のCPUはZ80であるため、NECの互換チップuPD70008も搭載。見慣れないPALチップやカスタムチップがあるので、これでPC-98とPC-88を同居させているように見えます。かなり苦心した作りに思えます。当時のカスタムチップ(恐らくゲートアレイでしょうけど)は高かったろうな~。
PC-98DOバッテリバックアップ部の腐り 起動しない原因とは思えませんが、メインボード右下にあるRTC(時計)とRAMパラメータを保持するニッカド電池が腐って液漏れしていました。まだ軽度な液漏れですが、貴重な基板が壊れるので早々に撤去が必要です。
PC-98DO電源部最終的に見つかった戦犯(故障原因)は電源ユニットでした。破裂したコンデンサがいくつもあり、漏れた電解液で基板がべっとり濡れています。これでは電圧上がらないわけです。というより、よく基板が原型を保っていたと思います。登場してから27年。その大半の年月で電解液が漏れた状態にあり、常に冒されていたものと思います。部材調達をしないと交換も出来ないので今日はこのまま閉じます。

工作というより修理ネタになりつつありますが、しばらくお付き合い頂ければと思います。

(K)

今週の活動報告(2015/11/03)—レトロPC祭

会長です。

皆様、BEEPというお店をご存知でしょうか?
X68, MSX, ポケコンなどのレトロPC本体、周辺機器、ソフトなどを売買できるお店です。

ここ数年、秋葉原では昔からのジャンク屋さんがどんどん撤退していました。
その影響でジャンク屋にあったレトロPCが徐々に見られなくなり、メンバはそれをIchigoJamを遊ぶことで誤魔化していました(笑)

ところが!そんな所に突如、直球・ドストレートなお店が出来てしまったからさー大変!
既に隠しようが無いほどのレトロ好きであるマサ氏がお店に入り浸るようになり、とうとう以前持っていた名機PC-9801UVを衝動買いしてしまいました。

前振りが長くなりました・・・。
今日の活動は、買ったばっかりのUVとメンバが持っているレトロPCを持ってきて動かしてみようという内容です。

早速PCを見てみましょう。

V30トリオ PC-9801UV11, PC-98DO, PC-286NF

今回そろったのは左から
NEC PC-9801UV11
NEC PC-98DO
EPSON PC-286NF(NoteF)
という堂々たるPC-98およびPC-98互換機です。なんと、搭載しているCPUはみ~んなV30(NEC uPD70116-10MHz)。
最早V30祭とも言ってもよいのではないかという陣容です。

今回は写真が多いので、スレッドを二回に分けて報告したいと思います。
※PC-286NFは以前の特集(技報 Vol.5.1)で取り上げているので割愛。

(K)