今週のプチ活動報告(2022/02/26) — PC-286NFビネガー症候群の修理

こんにちは。かいちょうです。

今回は、またレトロPCの修繕の様子をお伝えしたいと思います。
対象は以前にちょっとご紹介したことがあるEPSONのPC-98互換機 PC-286NF(note F)です。
このPC-286NFは、以前Vol.5.1でFDDを修理して以来、押し入れで保管をしていたのですが、気が付いたらレトロノートPCの宿命であるビネガーシンドロームを発病していました。同じ場所に保管していた3台のノートのうち他の2台も巻き添えに。。。

ビネガー症候群(ビネガーシンドローム)は、液晶に取り付けられている偏光板や反射板が経年劣化で加水分解され酢酸が析出する現象で、透明度や反射度が失われてしまう問題です。
既に2000年頃のPCでも保管条件によって発病しているという記事をネット上では見たのですが、20年生きてきたこのPCは大丈夫だと根拠なく思っていました。
全く大丈夫じゃなかったわけです・・・。

画像で見て頂いても分かる通り、真っ黒になってしまい画面が見えません。
おまけに、一度修理したFDDも再び漏れてしまったバッテリ液でやられてしまい、満身創痍に逆戻りしてしまいました。

もう一度元の状態に戻すべく、まずは液晶の修理の検討を行います。

こうなってしまった液晶の修理は基本的には二通りしかありません。全く同型の液晶に交換をするか、ビネガーシンドロームになってしまった偏光板を交換するかです。
後者はあまりにも難易度が高いので、まずは同型液晶の交換を目指し、中古の機体を探しました。
PC-286NFの液晶はバックライトがない反射型の液晶で、初期のノートであるためか、他機種で使っているのを見たことがありません。可能性が高いのはPC-286Exectiveですが、こちらはPC-286NFよりレアのようで見つかりません。数か月かかってなんとか同じPC-286NFを二台手に入れたのですが片方は同様にビネガーシンドロームになっており、片方はまさかのライン抜けで死んでました。

こうなっては仕方がない・・・ということで、禁断の?偏光板交換にチャレンジしてみることにしました。高校生のころから開けたことがない液晶部を分解していきます。一発目で外枠をあけたのがこちら・・・。バックライトがないため、CCFLインバータもなく非常にシンプルな液晶です。ここまでの分解はらくらくでした。

偏光板は一番上の層に接着剤でついているのでカッターで剥がしていきます。噂で聞いていた通りですが、鼻がひん曲がりそうなほど酢酸のにおいがすごいです。やっとこさ偏光板を外しましたが、この時点で三時間近く経過。でも、まだ表面には接着剤が残っています。

今回用意したのは、東急ハンズやドラッグストアで買ったシール剥がしやエタノールとスクレーパーです。頑張って少しずつ取っていくのですが、スクレーパーが小さすぎてなかなか進みません。温めれば多少早くできるようになるかなと思ってディスポーサブルの手袋にお湯を入れるという迷走ぶり。。。


結局、表面の偏光板と接着剤を外すのに六時間ぐらいかかり、ようやくここまで取り除く事ができました。
まだ黒いシミのようなものがとれていないじゃないかと思われるかと思いますが、これは液晶層の後ろにある偏光板と反射板が原因で液晶の裏を同様に剝ぐ必要があります。

しかし、液晶の裏にアクセスするにはフィルムケーブルを取り外さないとアクセスできません。

今回はここで力尽きたので一旦休止したいと思います。

(K)

今週のプチ活動報告(2022/02/19) — PC-98 FreeBSDサーバ復活

こんにちは。かいちょうです。

本日は久しぶりに我が家のレトロPCの話題をお届けしたいと思います。
昨年故障してしまい、復旧不能となってしまったPC-9821Ra40の件です。

以前修理を試みましたが、お手上げだったので、結局新しい同型機を手に入れることにしました。
あたらしい相棒はPC-9821Ra43!

PC-98アーキテクチャ最後のデスクトップ機です。いつかは欲しいと思っていた最後の98です。
(っと言っても、PC-9821Ra18/20から連綿と続く440FX+StarAlpha2 の組み合わせが継承されているのでRa40との性能差は33MHz分しかありません。でも、最後は最後)

早速見ていきましょう。

上がRa43, 下がRa40です。両者の発売時期は1~2年しか違わなかったはずですが、使用環境の違いか、Ra43はぴかぴかでまるで新品のようでした。う~ん。いいね。

さっそく、Ra40からドライブ類を移植します。両者の違いはCeleron400か433かの違いしかなく、メインボードも筐体もなにもかも一緒なのでさくさく移植することが出来ます。二台のハードディスクを移植、PCIにUIDE-133(98)を移植します。

4pin電源端子が足りないのでAT機用の二股を間に入れます。今となってはほとんどのドライブがSATAまたはM2になってしまったので、このコネクタも何れ廃れてしまいますね。。。

10分もかからず移植完了。電源投入をしてみます。

中に入っていたOS(FreeBSD)は何事もなかったかのように起動してくれました。さすがの互換性ですね。

特にこれ以上何かすることはないのですが、Ra43も新品同様に見えるとはいえ20年近い機種なので、いずれ運用ができなくなることを前提に、サーバデータの移動や、機体のメンテを検討しなければいけません。

レトロなPCを稼働可能な状態にする、データを失わないようにするというのは意外に手間暇がかかりますね。まぁ、それが趣味としては面白いところだと思うのですが・・・。続いてはもう一台のレトロPCの工作をお届けしたいと思います。

今日はこの辺で。

(K)

今週のプチ活動報告(2022/02/12) — HiSE/LSE先頭車デコーダのチューニング続き

こんにちは。かいちょうです。

先週に続いてチューニングを行います。
今手元にオシロスコープがない状態なので、何が起きているかを予想を立てて少しトライアンドエラー的に対策と効果を確認してみます。

まず最初に試したのは線路電圧を両線からの差分で測定する方法。作成した基板は、搭載されているマイコンRL78/G11のI/O端子から、片側線路のみ読み取る設計だったので、ちょっと強引ですがリード付き抵抗を使って両線をマイコンの空き端子にブリッジします。
プログラムも修正して両線の状態をマイコンから監視するようにします。しかし、多少安定したかなっと思う程度で実用域には程遠い感じでした。

続いて実施したのは、デコーダのMCU電源を安定化させるために容量追加です。取り急ぎ適当な100uFを付けてみました。
これは効果があったので、線路離線に伴うマイコン電源のふらつきが多少影響を与えている事がわかりました。が、これをそのまま採用するにはコンデンササイズが、車両搭載にはデカすぎますし、完全に誤判定がなくなったわけではなく不完全です。
やはりハード的な対策というよりソフト的な対策の方がよさそうです。
そこで、アナログモード時の判定アルゴリズムを変更。詳細は割愛しますが、これまでの単位時間での判定から、フィルタ処理を入れた上で判定する方法に変更をしてみました。
この変更で、ノイズがすごい、旧式のTOMIX 5001コントローラでもある程度まともな運転ができるようになりました。

改めて、DCCモードも含めて確認実験をしてみました。

こちらも新しいプログラムで問題なく動いているようです。(牽引というか、押しているのはHiSEの電動車)

この後、100uFを撤去しましたがそれでも大丈夫そうでした。

このようにプログラムをチューニングすることである程度なんとかなるケースだと助かります。
が、毎回プログラムを書き換える度にデコーダを車体から外すのは面倒なので、そろそろ線路からのファームウェアアップデートを考えなければと思っているところです。(技術的にはできるのですが、コマンドステーション側の環境構築とデコーダのソフト変更が面倒で二の足を踏んでました)

あとでオシロスコープが使えるようになったら、線路波形も測定してお見せしたいと思います。

今日はこの辺で。

(K)

今週のプチ活動報告(2022/02/06) — HiSE/LSE先頭車デコーダのチューニング

こんにちは。かいちょうです。

今日は昨年作成したHiSE/LSE用デコーダのチューニングを行いたいと思います。
ファンクションデコーダの場合、毎回作るたびにチューニングをしています。
具体的にはDCCで動いている時ではなく、従来型のアナログコントローラ動作時に対して行います。

アナログ動作時、デコーダがどちらに対して動いているのかを判定する必要があるのですが、様々な要因で誤判定することがあります。(DCCの時はデジタル信号をデコードしているのでこのような問題はおこりません)
他の製作者さんでも、アナログ運転は保証しないとしているケースもあるので、実は以外と難しい調整部分だったりします。

今回作ったデコーダもその症状が出たので、まずは解析とハード/ソフトでの対応を試みます。

まず、実験をしやすいように、空き端子にF0F, F0R確認用のLEDを搭載します。

このような形にすると、HiSE/LSEには搭載出来なくなる上、プログラムも頻繁に書き換えるので、別な人身御供実験しやすい旧車を引っ張ってくる必要があります。

今回抜擢されたのがこちら、30年選手のKATO クハ103(スカイブルー)です。このKATO 103系は技報Vol.3でも表紙を飾るほどDCC実験に参画しており、西武5000系レッドアローと並んで登場率が高い働き者です。常時、配線を接続できるようにすでに車内に端子を植えてあり、すぐに実験することができます。

実際に搭載した姿がこちら、まるでヤドカリみたいな感じですが、前述の通り書き換えができるようにするにはこの形が最適です。

ハードウェア的にはマイコンのI/O端子で線路電圧の状態を監視しているのですが、この端子が暴れている可能性を疑い、小容量のキャパシタ(9p)をのせてみます。


実験の様子がこちらです。直流安定化電源で安定した電源を線路に給電しているにも関わらず、ちょっと動かすと接触ノイズで進行方向を誤判定、ヘッドライト/テールライトが激しく入れ替わって点滅します。小容量キャパシタではダメなようなので、これから他の技も含めてチューニングを続けます。

今日はこの辺で

(K)