本日は技術書典19弊サークルブースにお越し頂きありがとうございました。
今回はサプライズで最新号(別冊Vol.4)で取り上げたPC-9801UV11とPC-KD854nを実機実働展示いたしました。
初のポタ電導入でしたが、懐かしいと言ってくださる方がいらしてやった甲斐がありました。
※めっちゃ大変でしたけど。。。
次回は技術書展20か夏コミ二になるかと思いますが、新刊を準備してお待ちしておりますので是非よろしくお願い致します。
(K)
最新刊!
ヨシノローテック技報 別冊 Special Vol.4 レトロPC修理特集2
本誌は、システム開発サークル「ヨシノローテック」の工作活動を纏めた技術情報誌(別冊Vol.4)です。
今回はPC-98のフロッピィディスクドライブとメインボードそしてCRTとLCDのディスプレイの修理方法について機種を特定した密着の修理を特集しました。
既に修理サービスがない製品をどのように調べるか、パーツをどう調達していくかに迫っています。
コンテンツ
Case1 PC-9801UV11 フロッピィディスクドライブ&メインボード修繕
Case2 PC-KD854n コンデンサ交換で安定化
Case3 LCD-RDT242XPB PC-98公式対応のLCDディスプレイをパネル交換
発行:
2025年8月16日第一版発行
2025年8月22日第二版発行(KDP版)
ページ数:A5相当 56ページ(冊子版)
初頒布:コミックマーケットC104
こんにちは。かいちょうです。
前回、PC-KD854nのコンデンサ調査のために基板を外したりしていたところ、表示がずれてしまったことを書きましたが、今日はその修正を試みます。
今回は前回以上の危険を伴います。前回は電荷が抜けきった頃合いを見計らって分解したのですが、今回は電源入れて・・・表示させながらじゃないと調整できないので・・・。
まず何が起きているかをおさらいします。
こちらが問題の症状。PC-98DOのROMベーシックが起動したところですが、お決まりの”How many files(0-15)?”がなんか”ny files(0-15)?”とかなっていて、最初の方が削れています。よく見るとmanyの”n”あたりにHowが重なって写っているように見えます。
前回も書きましたが、水平同期の描画開始タイミングがずれて、左側が重なって描画されてしまっているようです。昔のテレビの知識だとこの辺はディスプレイに入っているトリマ(可変抵抗)を弄れば元に戻せたはず・・・。
ということで一旦電源を切って可変抵抗の位置を確認します。ここからがコワイ。。。感電しないように気を付けながら筐体を開けます。
感覚としてはこの描画位置関連の調整は電子銃基板にあったような記憶があります。電子銃基板は一番出っ張ったところにあるのでアクセスしやすく、感電のリスクは低い・・・と思いながら見てみます。
うぅ、残念ながらR, G, Bのコントラスト調整やバイアス調整しかない・・・。この辺は水平信号にはかかわっていないようです。PC-KD854nの構造からディスプレイケーブルの信号は一度全部電子銃基板側に入っているのですが、お目当ての水平位置関係はどうやらアクセスしにくいメイン基板側にあるようです。フライバックトランスの近くとかだったら・・・やだな。
そしてようやく見つけました。ブラウン管面の左側直下。フライバックとは反対側ですが、アクセスしにくいなぁ。回路上必要なかったのか、いくつかのトリマは未実装でした。関連しそうなのはH.HOLDとH.PHASEになります。H.HOLDが水平同期信号っぽいので、まず弄ってみます。CRTは明らかに絶縁されていないと思われるので、本当は非金属のドライバで調整を実施するべきなのですが、我が家には非金属ドライバがない!・・・持ち手側をゴム手袋で絶縁することにしました。(良い子は絶対マネしないように!)
描画しながら回してみると・・・あぁ、位置がずれていく・・・どうやらこれで調節できそうです。
ところが・・・できた!と思って筐体を閉じたら・・・PCと同時に電源投入すると同期が取れなくなる現象が発現。。。これではだめだなぁ。
H.HOLDを右に回して位置を変更したのですが、どうも電源投入と信号入力のタイミングで同期がダメになるっぽいので、HOLDは位置を元に戻し、H.PHASE(位相)で位置を変えてみます。少しづつ回すと・・・。
ほらピッタリ!ということで治りました。
が、実際は温度依存性があるみたいで、温度が低いと左側に寄って、高くなってくると(電源投入後しばらくすると)中央に画面が動くという状態です・・・何が悪いのかちょっと追及はできず、見えるから今回はこれでいいだろうという妥協をしました。
今回の確認でもコンデンサ液漏れ等はありませんでしたが、既に32年経過しているので当初の容量なんて全くないと思われます。また、可変抵抗も樹脂部が経年で割れているのが見えたので・・・そのうち交換しないとダメだろうなという状態。頃合いを見計らってリフレッシュ工事を考えたいと思います。
今日はこの辺で。
次回は鉄道模型に戻ります。
(K)
※お約束。本記事の内容は危険を伴うものです。記載されている情報も含め何も保証できませんので、解析、修理等を行う場合は自己責任でお願いいたします。
※本記事ですがその後の調査で新たに分かった点を踏まえ、2025年8月17日に更新されました。
こんばんわ。かいちょうです。
本日は唐突ですが、こちらのCRTディスプレイのコンデンサ調査を行いたいと思います。
皆さん覚えておいででしょうか。このディスプレイはNEC PC-KD854n。PC-98シリーズ用のノーマルディスプレイです。以前こちらでレトロPCの紹介を行ったときにご披露したものです。
本ディスプレイはかいちょうがPC-98DOと共に初めて手に入れたものです。あの記事掲載後、引っ越しに伴い、マサ氏の方に預かってもらっていました。
マサ氏宅から唐突に呼び戻され、解析をすることになったのは・・・当サイトの読者様よりコンデンサ交換の参考にしたいので、情報を頂けないかというご要望を受けた為です。
お陰様?で当サイトも多少検索エンジンに引っかかるようになったのかな・・・と思ったのですが、調べるとそもそも、CRTディスプレイの解析事例はほとんどないんですよね。PCのドライブ、メインボード、電源部のコンデンサ交換記事は割と見かけますが。
5年前、PC-98DOに比較して(面倒臭かった)コンデンサのダメージが見られなかった為、何もしないで閉じていたのですが、今回は調査の為に思い切ってばらします。
実はわたくし、ACを内部昇圧する機器の解析は禁忌としていました。そのため、今回初めての本格なCRTばらしです。
(電子レンジ、CRTなど、内部電圧昇圧機器はコワイのでばらしたくなかったんですよね。って言っても今は普通のACアダプタでもPFCとかがあると昇圧回路ありますが)
暫く電源入れてないから残留電荷はないだろう・・・ということで恐々しながらもどんどんばらしていきます。
放電を使っているのでアーシングというか、逃げ電荷を捕まえる為と思われるグランド配線が多いです。。。電子銃側の基板をはずしやっと取り出した電源ボードがこちら。
超でっかいフライバックトランスが威厳を放ちます。。。20KVぐらい作るんだよねコレ。幸い、感電せずに終わりました。
調査した結果がこちら
| 電子銃基板 ( Electron-Gun Board ) | ||||
| Marking | Voltage | Value | Note | Color |
| C934 | 160V | 1uF | 105 C | Black |
| C922 | 160V | 1uF | 105 C | Black |
| C935 | 160V | 1uF | 105 C | Black |
| C936 | 160V | 1uF | 105 C | Black |
| C924 | 160V | 1uF | 105 C | Black |
| C923 | 160V | 1uF | 105 C | Black |
| C916 | 35V | 4.7uF | Non Polarity, 105 C | Brown |
| C917 | 160V | 100uF | Blue | |
| C918 | 160V | 10uF | 85 C | Black |
| C941 | 16V | 100uF | Blue | |
| C901 | 25V | 47uF | Blue | |
| C902 | 25V | 47uF | Blue | |
| C903 | 25V | 47uF | Blue | |
| 電源基板(Main Power Board) | ||||
| Marking | Voltage | Value | Note | Color |
| C605 | 200V | 680uF | 85 C | Black |
| C606 | 160V | 33uF | Black | |
| C405 | 25V | 2200uF | Blue | |
| C413 | 16V | 22uF | Non Polality | Black |
| C412 | 50V | 3.3uF | Blue | |
| C2001 | 25V | 47uF | Brown | |
| C507 | 16V | 470uF | Black | |
| C503 | 50V | 1uF | 105 C | Black |
| C502 | 50V | 1uF | 105 C | Black |
| C402 | 16V | 10uF | Black | |
| C404 | 16V | 470uF | Black | |
| C407 | 50V | 100uF | Black | |
| C2002 | 50V | 10uF | Black | |
| C409 | 50V | 470uF | Black | |
| C512 | 160V | 10uF | Black | |
| C510 | 35V | 220uF | Black | |
| C411 | 25V | 100uF | Black | |
| C654 | 160V | 10uF | Black | |
| C658 | 50V | 10uF | Blue | |
| C655 | 160V | 100uF | Blue | |
| C657 | 25V | 470uF | Blue | |
| C659 | 160V | 10uF | Black | |
| C656 | 160V | 22uF | Blue | |
| C451 | 50V | 1uF | Blue | |
合計37個のケミコンが使われていました。意外に少ない!
マルチシンクでもないノーマルディスプレイなので回路もシンプルだったんでしょうね。
これが、どなたかのお役に立てばよろしいかと。
おまけ、最後ばらしたディスプレイをもとに戻し、久しぶりにPC-98DOを起動したら・・・思いっきり水平位置がずれてました。電子銃基板外したからだな・・・。
簡単に直せるので次回あたり直します。。。
※お約束。本記事の内容は危険を伴うものです。記載されている情報も含め何も保証できませんので、解析、修理等を行う場合は自己責任でお願いいたします。
最後にオールドPCの周辺機器、拡張機器について、手持ちのものを並べて紹介してみます。
自己満足の薀蓄なので読み飛ばして頂いてもかまいません。(笑)
○ディスプレイ
PC-98シリーズもそうですが、古いPCは専用のモニタを必要としているケースが多くありました。解像度や水平同期周波数などが異なるため、最近のPC-AT互換機用のディスプレイはほとんどのケースで使えません(一部例外あり)。
こちらはPC-98DOとセットで譲り受けたNEC PC-KD854nです。PC-98ノーマルモードの解像度640×400, 水平同期周波数24KHzに対応したディスプレイです。

TVでもPC用としても絶滅したCRT(しかも超曲面!)を見るととてつもない哀愁が漂います。今20代以下の方は、CRTとか分からないんだろうなぁ。854nは当時から割りと古風なデザインでしたが、今見るとさらに強く思います。
さて、早速健康診断のためにばらします。(笑)

CRTディスプレイはCRT自体に寿命がありますが、それより、わんさか入っているケミコンが心配です。PC-98DOと同じ27年選手であるため、破裂の予兆があるのであれば交換も検討しなければなりません。ところが、意外。開けてみると30数個あるケミコンは染みもなく特に問題がありそうには見えませんでした。
本当は予防交換をした方がいいですが、時間もないので閉じて、次の機会にすることにしました。
○固定ディスク装置(HDD)
NEC的な言い方で書いてみました。(当時、PC-98の世界ではハードディスクドライブのことを固定ディスク装置と呼んでいた記憶があったので)
初期の頃のHDDはSASI規格。中期以降はSCSIがポピュラーで、性能と手軽に増設できる点で有利だったと記憶しています。(ま、最後期はIDEが圧倒的にコスパで有利でしたけど)
写真のHDDはPC-98DO入手後にジャンクで手に入れたPC-HD040L NEC純正のSCSIハードディスクです。確か定価は約16万円!今なら最新のB5ノートを三台買える程の高価なものでした。


中身のドライブもNEC製で、フルハイトのサイズが涙を誘います。
このドライブも25年以上経過していますが、DOで試したところ正しくアクセスすることができました。昔のものは丈夫だな~と思う瞬間です。
○Cバス用SCSIボード
PC-98の拡張スロットはCバスという名前が付いていました。このスロットの最大の特徴は本体を開けることなく外からカードを入れることができること。また、構造的にもISAやPCIと比べるとボードの両端にガイドがあるのでしっかり挿せることでした。
ただ、性能面では286時代に進化が止まり、NECが386からはNESAバスにシフトし、それが思いっきり失敗(←主観です)したため、進化が止まったままPentium時代も使うことになるという状態になりました。
UVやDOのような世代ではCPUクロックが10MHz程度なので、特にボトルネックにはなりません。当時はそこそこ安かったSCSIボードなどを挿してハードディスクを取り付けていました。手持ちのSCSIカードのコレクションをちょっとご紹介。
-ICM
名機 ICMのIF-2769, そしてスーパー変り種のIF-2771ETです。IF-2769はCバス最強クラスの転送能力を誇る名ボードで、Pentium時代でもCバスしか空きがない機種にCD-Rドライブを接続するために重宝されていました。会長はXa7用に手に入れた記憶がありますが、PCIのSCSIにさっさと移行してしまったので使った記憶がありません。IF-2771ETはSCSIと10Base-TのLANが同居しているスーパーボードです。拡張性が厳しい機種で1スロットに2つの機能を押し込める事がメリットでした。特に1スロットしかないDOにぴったりなのですが・・・両方のボードともV30はサポートしてません(涙)。
-Melco(Buffalo)
当時、周辺機器の二大メーカといえばIO DATA機器とMelcoでした。どちらかというとIO DATAは性能重視、価格高め。MelcoのBuffaloブランドは価格重視で性能はIOよりちょい下がる・・・というイメージでした。会長は当然後者を選択(笑)していたので今でもたくさんのBuffaloブランドのボードを持っています。上記のボードはBuffalo Cバス SCSI中期から最後期を飾るボードIFN-SC, IFN-NS, IFC-NNです。IFN-SCは前にも一度ご紹介しましたがPC-98DOで使っていたもので、V30でも動作します。今はマサ氏のUVに装着してます。IFN-NS, IFC-NNはSMIT転送方式をサポートした486機では最強のボードといわれています。SMITはSuper Memory mapped I/O Transferの略。・・・やっていることはただのメモリマップドI/O方式によるアクセスなんでしょうが、横文字で書かれると無駄にカッコイイですね。
NSとNNの違いはコネクタで、NSは旧来からあるアンフェノール50pin, NNは国際標準のミニDsub50pinです。 NNの方はBIOSによって8GB程度までハードディスクを認識できた記憶があります。両ボードとも、スペックシート上はV30もサポートしているように見えますが、なぜかまったく動きません(涙)。今は復活したDO用にV30対応ボードを探しているところです。
(K)
続いてPC-98DOの本体修理です。
○PC-98DOの本体修理
電源部に続いて本体の電解コンデンサを交換し、メモリバックアップ用のニッカド電池を設置します。
こちらが本体表面の様子です。電解コンデンサは全部で17個もあり、基板が大きい事もあって交換はかなり大変です。
実際、熱容量が大きく同じハンダゴテを使っているにも関わらず古いコンデンサが中々取れません。そうこうしている内にスルーホールを一か所駄目にしてしまいました。
裏面の画像。表面は割と大人しい感じでしたが裏はこの通り汎用ロジックが所狭しと乗っています。GNDパターンも広大なので電源部よりも熱が集中しにくい状態になっています。本当はもっと加熱できるハンダゴテがあるといいのですが・・・ない物ネダリしても仕方ないので、慎重に進めます。
一方、日米商事で買ってきたニッカド電池は放電しきっているようで、電圧を測ってみると僅か0.1Vしかありませんでした。このまま取り付けても役に立ちません。
本体改造の合間に安定化電源を電流制限して充電を試みます。果たしてこんな処置でよいのかどうかは疑問ですが・・・
一時間ほど充電をすると、取りあえず電圧は上昇しました。もう少し様子を見た上で最終的に設置するかどうかを判断します。
結局、本日はコンデンサの撤去だけで終わってしまいました。
次回、新しいコンデンサを取り付けます。
(K)
今週の活動報告を致します。
今週はPC-9801UVへのMS-DOSインストールとPC-98DOの本体修理を行いました。
2つに投稿を分けて報告します。
○PC-9801UVへのMS-DOSインストール
最初はPC-9801UVへのMS-DOSインストールについての報告です。
先週、変換番長でSCSI IDを仮想的に4つまで認識させることができたのですが、元々使っていたCFカード(4GB)ではあまりにも領域が広大で、使い道がないことに後から気付きました(笑)
今日、改めて512MBのCFカードを使ってMS-DOSのインストールを行います。用意したのは15年以上前に購入したNEC版MS-DOS Version3.30Dです。
純正・原本のMS-DOSフロッピィディスクから変換番長SCSIの領域確保とフォーマットを行います。
当時、PC-98のMS-DOSはformat.exeだけで領域確保とフォーマットの両方をグラフィカルに行う事ができました。PC/ATは、fdisk.exeで領域を確保した上でformat.exeでフォーマットとシステム転送をしており、二つのソフトが必要でした。表示も殆どコンソールベースだったので、PC-98に一日の長があると当時は感じていました。
ま、今のパソコンのお手軽さから比べれば味噌○ソ一緒レベルでしょうけど。
しかし、リアルタイムでMS-DOSのインストールをやっている酔狂な人なんてどんだけいるんでしょうかね・・・。
一通りインストールと設定が終わった後、これまた懐かしいIODATA機器のinspectを立ち上げてみました。
こちらはメモリサーバというメモリ製品に付属していたユーティリティで環境表示の他に簡易的なベンチマークを行う機能があります。上記はCPU情報を表示したものです。きちっと? V30/V33/V50と判定されています。CPUの演算能力を測定するdhrystoneテストのスコアは800。MS-DOS環境では何不自由ないレベルi486SX-33MHzが6000ぐらいだったので、やっぱりかなり控えめ(笑)な値ですね。今のCore i7はどのくらいのスペックになるんでしょうか。。。
(K)
会長です。
今週の活動報告をします。
今週からPC-98DOの電源部とUVのドライブ修理を行います。
まずはDOの方です。
先週、メインボードのニッカド電池が腐って漏れているのと、電源部の電解コンデンサが同じく漏れていることを報告しました。今日は容量をチェックしてハンダで撤去していきます。
こちらはメインボードのニッカド電池が付いていたところ。ニッカドは早速ハンダで外しました。当時は思いっきり鉛半田だったので、熱容量が比較的大きくてもすぐに外れます。いい時代です。(環境汚染的には良くないのでしょうが)
跡を見るとちょっと緑青が出ていますがこれであればエタノールと歯ブラシでおちそうです。マサ氏の指導を受けながらゴシゴシして落としていきます。
続いて電源基板です。搭載されている電解コンデンサは全部で10個。回路がシンプルなので数が意外に少ないです。当時は力率改善回路(PFC)等も搭載されていないため、単純なDC/DCコンバータになっています。また、5V, 12V, -12V出力を作るのにパワーモジュールと思わしきものを使っていることもシンプルな回路実現に一役買っているように思えます。

最後はフラックスリムーバなどを掛けてやはりブラシとウエスでゴシゴシします。写真では分かりにくいですが非常にきれいに落ちました。

こちらが今回撤去した電源部の電解コンデンサとニッカド電池です。電源部のコンデンサは半分ぐらい足元から盛大に漏れていました。漏れていないコンデンサも27年経過しているので一緒に変更してしまいます。
コンデンサの手配を行い、手に入り次第交換を行う予定です。
(K)
さて、続いてPC-98DOの方を見ていきましょう。
本機は会長のパソコンの師匠と呼べる友人から譲り受けた機種です。ジャンクで手に入れたPC-HD040Lと一緒に使ってました。しかし、引越しに伴い、置く場所がなくて電源を入れなくなっていました。最後に電源を入れてから9年以上が経過。予想通りと言えば予想通りなのですが、電源ボタンを押しても電源LEDすら点灯せず、まったく起動してくれない状態になっていることが今回の祭で分かりました。ちょっと悲しい。。。早速故障状況を確認するためにばらします。
PC-98DOはPC-98の歴史の中ではかなりの異端児です。この機種の最大の特徴はPC-88シリーズとのハイブリットになっていることです。登場したのは1988年。当時、PCのメインストリームは既にPC-98(16bitアーキテクチャ)で、8bitアーキテクチャであるPC-88シリーズはシリーズとして終焉に向かってました。PC-88のメイン用途はゲームでしたが、そういった層をうまく取り込み、PC-98シリーズにスムーズに移行させるものとして本機が登場したものと思われます。1粒で2度おいしい・・・となるはずでしたが・・・うまくいかなかった様子。現に本シリーズは次のPC-98DO+のみで終わっています。
不遇に終わってしまった理由をいろんなサイトさんが書かれていますが、筆者が考える最大の問題は性能と拡張性でした。
本機が登場した当時、PC-98シリーズのフラグシップ機は既にi386 20MHzを搭載していました。それに対して本機はV30 10MHz・・・。MS-DOSの通常のオペレーションであればそれほどの差は出ません(注:主観です)が、ゲームでもグラフィクスを駆使したものは苦しく、表計算やワープロもちょっともっさりという感じでした。
次の問題である拡張性は中の構造に関係しています。本機はPC-98の他機種と異なり、ドライブが横に並ぶ構造になっています。そのため、貴重なCバススロットが1個しかありません。当時、追加したい機能の筆頭はHDD I/F(SCSI), 1MBフロッピィディスクインタフェースボード, NetWare(LAN)でしたがどれか一つしか使うことができず、長く使うことが必然的に難しい状態でした。筆者はSCSI2を増設し、他のPCとはRS-232C(Maxlink)で接続していましたが、本機がi386-20MHzでCバスが2本あったら・・・もうちょっと使っていたかな~と思ってます。最も、コストが掛かるPC-88の機能を搭載した上で、当時としては廉価な価格設定を実現するため、値段が安いV30と周辺チップしか選択できなかったのではとも思いますが・・・。
メインボードを見てみます。本機はPC-98の機能をV30CPUと周辺チップセットで実現しており、PC-98機能を司るカスタムチップ(uPD9012, 9013, 9014)はUVと同様なものが搭載されています。一方、PC-88のCPUはZ80であるため、NECの互換チップuPD70008も搭載。見慣れないPALチップやカスタムチップがあるので、これでPC-98とPC-88を同居させているように見えます。かなり苦心した作りに思えます。当時のカスタムチップ(恐らくゲートアレイでしょうけど)は高かったろうな~。
起動しない原因とは思えませんが、メインボード右下にあるRTC(時計)とRAMパラメータを保持するニッカド電池が腐って液漏れしていました。まだ軽度な液漏れですが、貴重な基板が壊れるので早々に撤去が必要です。
最終的に見つかった戦犯(故障原因)は電源ユニットでした。破裂したコンデンサがいくつもあり、漏れた電解液で基板がべっとり濡れています。これでは電圧上がらないわけです。というより、よく基板が原型を保っていたと思います。登場してから27年。その大半の年月で電解液が漏れた状態にあり、常に冒されていたものと思います。部材調達をしないと交換も出来ないので今日はこのまま閉じます。
工作というより修理ネタになりつつありますが、しばらくお付き合い頂ければと思います。
(K)